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お知らせ

令和8年 年頭所感 《会長:髙木俊幸》

お知らせ|2026.01.06

令和8年1月6日
一般社団法人日本設備設計事務所協会連合会
会 長  髙 木 俊 幸

新年おめでとうございます。平素より当連合会の活動に温かいご支援を賜り、心より御礼申し上げます。

昨今のエネルギー情勢は、設備設計者にとって大きな課題である一方、新たな価値創出の可能性も広げています。エネルギー価格の変動、再生可能エネルギーの普及、災害時を見据えたレジリエンスの確保など、社会から求められる設備設計の役割は年々高度化しています。本年も持続可能な社会の実現に向け、設備設計の専門性を最大限に発揮してまいりたいと存じます。

年明けに発生した鳥取・島根県地震、昨年12月の青森県東方沖地震、さらに一昨年元日の能登半島地震は、我が国が常に大規模災害と隣り合わせにある現実を改めて突きつけました。特に能登半島地震では、長期にわたる断水や停電、医療・福祉施設を含む建築設備の機能停止が、現在も地域の生活や復旧に大きな影響を及ぼしています。近年は線状降水帯による豪雨災害や記録的猛暑など、気候変動に起因する災害リスクも顕在化しており、複合的な自然災害を前提とした建築・設備の在り方が求められています。

こうした中、設備設計者に求められる役割は、平常時の省エネルギー性や快適性の追求にとどまらず、災害時にも建築物の機能を維持し、人命と社会活動を支えることにあります。非常用電源や給排水設備の確保、設備機器の耐震性・耐水性、猛暑を見据えた熱負荷対策、復旧のしやすさを考慮した計画など、事前防災・減災の視点を設計段階から織り込む重要性は一層高まっています。設備設計者が専門的知見をもって建築主に具体的な提案を行うことは、社会的責務であると考えています。

また、AIをはじめとするデジタル技術の進展は、設備設計業務に大きな変革をもたらしつつあります。AIは設計者に代わる存在ではなく、思考と判断を支援する道具であり、業務の効率化に加え、設計の質を高める可能性を秘めています。人材不足や高齢化が進む中、AIの活用は若手技術者の育成や熟練技術者の知見・経験の継承を支える有効な手段となります。連合会としても、AIを人材育成と技術力向上の基盤と捉え、会員が安心して活用できる環境づくりを進めてまいります。

一方、制度面における課題も依然として残されています。建築士法に明記されている建築設備士資格は、実務において設備設計を担い、建築物の性能と安全性を支える重要な存在であるにもかかわらず、実態と制度との乖離が見られます。災害対応や環境性能の高度化が求められる現在、設備設計の専門性が正当に評価される制度整備は急務です。専門技術者としての責任と役割、事務所組織としての業務が正当に評価される制度の実現に向け、引き続き関係機関との議論と働きかけを進めてまいります。

さらに、業界の将来を見据えたとき、人材不足と高齢化への対応は避けて通れません。設備分野の教育環境が十分とは言えない中、教育機関との連携を強化し、設備設計の社会的意義や魅力を若い世代に伝えていくことが不可欠です。また、能力ある若手技術者が建築設備士資格を早期に取得しやすい環境整備も必要です。設備設計は、人々の暮らしの安全と快適性を支え、災害に強く、環境と調和した社会づくりに貢献する誇りある専門職です。その価値を次世代へ確実につないでいくことが、私たちに課せられた責務であると考えています。

私たち設備設計事務所は、社会基盤を支える重要な使命を担うと同時に、変化に柔軟に対応する創造性が求められています。本年も日本設備設計事務所協会連合会は、会員の皆様と力を合わせ、制度・人材・技術の各側面から業界の未来を切り拓いてまいります。

本年も、会員の皆様と共に、業界の発展に向けて着実に取り組んでまいります。引き続きご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。